「否認」(悲嘆のモデル)

人生の中で道に迷うことは何度もあります。特にコロナ禍で今後の自分の人生の方向性に迷われている方は多いのではないでしょうか?

心理学では、人間が人生の中で衝撃的な別れを体験するとき(死別や生別)数ヶ月〜数年かけて「悲嘆のプロセス」を経て新しい人生の方向性を見つけていくと言われております。

死別や生別・別離(家族・親族、配偶者、パートナー、子ども、ペット、友人など)

災害、事故、病気・死の宣告(自分や身近な人、大事な人も含む)キャリア(失職、転職、転勤など)、引っ越し、留学家や所有物の紛失 など

ここでは「アルフォンス・デーケンの悲嘆の12段階モデル」の中の2番目の段階である「否認」についてご説明していきます。

立ち直るまでの期間には個人差があり、必ずしもこのプロセス通り順番に進むとは限りませんし、全てのプロセスを体験するとも限りません。

また、専門家に頼ってグリーフケアを行う場合もあれば、ある程度であれば個人で行うことも可能です。

ですが無理をしてご自身だけで癒そうとすると症状が悪化してしまう場合も考えられますので、遠慮なく専門家を頼ることも大切です。(初めての心理カウンセリングの場合、公認心理師、臨床心理士のカウンセリングがおすすめです)

目次

否認の定義と役割

否認は、悲嘆のプロセスの中で非常に重要な段階です。

これは、喪失の現実を受け入れることができず、その事実を否定する心理的な防衛機制です。

否認は、心が突然の喪失に対処するための一時的な手段として機能します。

この段階では、感情と理性の両方が喪失の事実を認めようとしません。

否認の特徴

否認の段階では、以下のような特徴が見られます:

現実感の欠如

喪失の事実を受け入れることができず、現実感が欠如します。

感情の麻痺

感情が麻痺し、喪失の痛みを感じることができません。

理性的な否定

理性的にも喪失の事実を認めようとしません。「あの人が死ぬはずがない。きっと何かの間違いだ。」という心理が働きます。

否認の心理的メカニズム

否認は、心が喪失の衝撃から自分を守るための防衛機制です。

突然の喪失に直面したとき、心はその現実を受け入れる準備ができていないため、一時的にその事実を否定することで心の安定を保とうとします。

この段階では、喪失の事実を受け入れることができるまでの時間を稼ぐ役割を果たします。

否認の具体例

否認の具体例としては、以下のようなものがあります:

故人がまだ生きているかのように振る舞う

故人の部屋をそのままにしておく、故人のために食事を準備するなど。

喪失の事実を否定する発言

「あの人はまだ生きている。何かの間違いだ。」という発言。

日常生活の継続

喪失の事実を受け入れず、普段通りの生活を続けようとします。

否認の影響

否認の段階が長引くと、以下のような影響が生じる可能性があります:

感情の抑圧

感情を抑圧することで、後に強い感情の爆発が起こる可能性があります。

現実逃避

現実を直視することを避け、現実逃避の行動が増えることがあります。

心理的な混乱

否認が続くことで、心理的な混乱が生じ、他の悲嘆の段階に進むことが難しくなります。

否認からの移行

否認の段階から次の段階に移行するためには、以下のようなプロセスが必要です:

現実の受け入れ

喪失の事実を徐々に受け入れることが重要です。

感情の表出

抑圧された感情を表出することで、心の整理が進みます。

支援の活用

カウンセリングやサポートグループなどの支援を活用することで、否認からの移行がスムーズになります。

否認の段階の重要性

否認の段階は、悲嘆のプロセスにおいて非常に重要な役割を果たします。

この段階を経ることで、心は喪失の現実を受け入れる準備を整え、次の段階に進むことができるのです。

否認は一時的な防衛機制であり、適切な支援と時間をかけて乗り越えることが大切です。

否認の段階における支援

否認の段階にある人を支援するためには、以下のようなアプローチが有効です:

共感と理解

否認の段階にある人の感情に共感し、理解を示すことが重要です。

現実の確認

喪失の事実を繰り返し確認し、現実を受け入れる手助けをします。

感情の表出の促進

感情を表出する場を提供し、感情の整理を促進します。

専門的な支援

カウンセリングや心理療法などの専門的な支援を活用することで、否認からの移行をサポートします。

まとめ

否認の段階は、悲嘆のプロセスにおいて避けて通れない重要な段階です。

この段階を経ることで、心は喪失の現実を受け入れる準備を整え、次の段階に進むことができます。

否認は一時的な防衛機制であり、適切な支援と時間をかけて乗り越えることが大切です。

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