人生の中で道に迷うことは何度もあります。特にコロナ禍で今後の自分の人生の方向性に迷われている方は多いのではないでしょうか?
心理学では、人間が人生の中で衝撃的な別れを体験するとき(死別や生別)数ヶ月〜数年かけて「悲嘆のプロセス」を経て新しい人生の方向性を見つけていくと言われております。
死別や生別・別離(家族・親族、配偶者、パートナー、子ども、ペット、友人など)
災害、事故、病気・死の宣告(自分や身近な人、大事な人も含む)キャリア(失職、転職、転勤など)、引っ越し、留学、家や所有物の紛失 など
ここでは「アルフォンス・デーケンの悲嘆の12段階モデル」の中の10段階目である「あきらめー受容」についてご説明していきます。
立ち直るまでの期間には個人差があり、必ずしもこのプロセス通り順番に進むとは限りませんし、全てのプロセスを体験するとも限りません。
また、専門家に頼ってグリーフケアを行う場合もあれば、ある程度であれば個人で行うことも可能です。
ですが無理をしてご自身だけで癒そうとすると症状が悪化してしまう場合も考えられますので、遠慮なく専門家を頼ることも大切です。
(初めて心理カウンセリングを受けられる場合は、公認心理師・臨床心理士のカウンセリングがおすすめです)

あきらめー受容の段階
「あきらめー受容」は、悲嘆のプロセスの10段階目に位置します。
この段階は、喪失の現実を受け入れ、前向きに生きるための重要なステップです。
あきらめの意味
「あきらめる」という言葉には、「明らかにする」という意味が含まれています。
つまり、自分の置かれた状況を明確に見つめ、受け入れることを指します。
これは、単に諦めるという消極的な意味ではなく、現実を直視し、受け入れるという積極的な行動です。
受容のプロセス
受容のプロセスは、以下のようなステップを経て進行します。
現実の認識 :
喪失の現実を認識し、それを否定せずに受け入れることが重要です。
これは、感情的な痛みを伴うことが多いですが、このステップを経ることで、次の段階に進むことができます。
感情の整理 :
喪失に伴う感情を整理し、理解することが必要です。
これには、悲しみ、怒り、罪悪感などの感情が含まれます。
これらの感情を無視せずに向き合うことで、心の整理が進みます。
新しい現実の受け入れ :
喪失後の新しい現実を受け入れることが求められます。
これは、過去の状態に戻ることを意味するのではなく、新しい状況に適応することを意味します。
受容の重要性
受容の段階は、悲嘆のプロセスにおいて非常に重要です。この段階を経ることで、以下のような効果が期待できます。
心の平安 :
喪失の現実を受け入れることで、心の平安を取り戻すことができます。
これは、感情的な安定をもたらし、前向きな生活を送るための基盤となります。
新しい希望の発見 :
受容の段階を経ることで、新しい希望を見出すことができます。
これは、次の段階である「新しい希望ーユーモアと笑いの再発見」につながります。
成長と成熟 :
喪失を受け入れることで、個人としての成長と成熟が促進されます。
これは、新しいアイデンティティの形成にも寄与します。
受容の困難さ
受容の段階は、多くの人にとって非常に困難なプロセスです。以下のような要因が、受容を難しくすることがあります。
感情の強さ:
喪失に伴う感情が非常に強い場合、受容が難しくなることがあります。
特に、突然の喪失や予期しない出来事の場合、感情の整理が難しくなります。
社会的なサポートの不足 :
社会的なサポートが不足している場合、受容のプロセスが遅れることがあります。
家族や友人、専門家のサポートが重要です。
個人の性格や背景 :
個人の性格や背景も、受容のプロセスに影響を与えます。
過去の経験や価値観が、受容の難易度を左右することがあります。
受容を助ける方法
受容のプロセスを助けるためには、以下のような方法が有効です。
感情の表現 :
感情を抑え込まずに表現することが重要です。これは、話す、書く、芸術活動などを通じて行うことができます。
専門家のサポート :
カウンセリングやセラピーなど、専門家のサポートを受けることが有効です。
専門家は、感情の整理や受容のプロセスをサポートしてくれます。
社会的なつながり :
家族や友人とのつながりを大切にすることが、受容のプロセスを助けます。
社会的なサポートは、感情の整理や新しい現実の受け入れに役立ちます。
受容の後のステップ
受容の段階を経た後は、新しい希望を見出し、前向きな生活を送るためのステップが続きます。
これは、悲嘆のプロセスの11段階目である「新しい希望ーユーモアと笑いの再発見」につながります。
この段階では、再び笑顔を取り戻し、新しい希望を見出すことができます。
まとめ
「あきらめー受容」の段階は、悲嘆のプロセスにおいて非常に重要なステップです。
この段階を経ることで、心の平安を取り戻し、新しい希望を見出すことができます。
受容のプロセスは困難ですが、感情の表現や専門家のサポート、社会的なつながりを活用することで、前向きに進むことができます。