強迫性パーソナリティ障害(Obsessive-Compulsive Personality Disorder, OCPD)とは、秩序、完璧主義、コントロールへの過度なこだわりを特徴とするパーソナリティ障害です。

診断基準
DSM-5による診断基準 :
アメリカ精神医学会の「精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)」では、強迫性パーソナリティ障害の診断基準として以下の項目が挙げられています。
これらのうち、少なくとも4つ以上を満たす必要があります。
細部、規則、スケジュール、秩序、およびリストに対する過度なこだわり :
- 例えば、日常的な活動においても細部に異常なまでの注意を払うことが多い。
仕事の完成を妨げるほどの完璧主義 :
- 例えば、完璧に仕上げるために仕事が遅れることが多い。
仕事や生産的活動に過度に専心し、余暇活動や友人を軽視する :
- 例えば、仕事に没頭しすぎて休暇を取らないことが多い。
倫理的および道徳的問題や価値観に関して過度に誠実、厳格で柔軟性がない :
- 例えば、規則を厳守し、例外を認めないことが多い。
感情的価値のないものであっても、使い古されたものまたは不要なものを捨てたがらない :
- 例えば、古い物を捨てることができず、溜め込むことが多い。
他者が正確に自分の望む通りに物事を行うことに同意しない限り、他者に仕事を任せたり、他者とともに働いたりしたがらない :
- 例えば、他者に仕事を任せることが難しく、自分で全てを管理しようとすることが多い。
お金を将来の災害のために取っておくべきものと考えているため、自分および他者に対して金銭を出し惜しむ :
- 例えば、必要な支出を避け、貯金を優先することが多い。
柔軟性がない、頑固 :
- 例えば、自分のやり方に固執し、他者の意見を受け入れないことが多い。
ICD-10による診断基準 :
世界保健機関(WHO)の「国際疾病分類第10版(ICD-10)」でも、強迫性パーソナリティ障害の診断基準が定められています。
以下の項目のうち、少なくとも3つ以上を満たす必要があります。
細部、規則、スケジュール、秩序、およびリストに対する過度なこだわり :
- 例えば、日常的な活動においても細部に異常なまでの注意を払うことが多い。
仕事の完成を妨げるほどの完璧主義 :
- 例えば、完璧に仕上げるために仕事が遅れることが多い。
仕事や生産的活動に過度に専心し、余暇活動や友人を軽視する :
- 例えば、仕事に没頭しすぎて休暇を取らないことが多い。
倫理的および道徳的問題や価値観に関して過度に誠実、厳格で柔軟性がない :
- 例えば、規則を厳守し、例外を認めないことが多い。
感情的価値のないものであっても、使い古されたものまたは不要なものを捨てたがらない :
- 例えば、古い物を捨てることができず、溜め込むことが多い。
他者が正確に自分の望む通りに物事を行うことに同意しない限り、他者に仕事を任せたり、他者とともに働いたりしたがらない :
- 例えば、他者に仕事を任せることが難しく、自分で全てを管理しようとすることが多い。
症状
強迫性パーソナリティ障害の主な症状には以下のようなものがあります:
完璧主義 :
仕事や活動において完璧を追求し、結果として時間がかかりすぎることが多い。
過度な秩序とコントロール :
規則を厳守し、例外を認めないことが多い。
柔軟性の欠如 :
他者の意見や方法を受け入れることが難しく、自分のやり方に固執する。
過度な仕事への専念 :
仕事や生産的活動に没頭し、余暇活動や人間関係を軽視する。
感情の抑制 :
感情を表現することが難しく、他者との関係がぎこちなくなることが多い。
原因
強迫性パーソナリティ障害の原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています:
遺伝的要因:
家族内で同様の障害が見られることが多く、遺伝的な要因が関与している可能性があります。
環境的要因:
厳格な家庭環境や過度な期待が強迫性パーソナリティ障害の発症に影響を与えることがあります。
心理的要因:
自己評価の低さや過度な自己批判が強迫性パーソナリティ障害の症状を悪化させることがあります。
治療法
強迫性パーソナリティ障害の治療には以下の方法が用いられます:
認知行動療法(CBT):
完璧主義やコントロールへのこだわりを検討し、柔軟な思考を促すことを目指します。
精神力動的精神療法:
自己コントロールへの欲求や過去の経験を検討し、自己理解を深めることを目指します。
薬物療法:
抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)など)が抑うつと不安の治療に使用されることがあります。
診断のプロセス
強迫性パーソナリティ障害の診断は、臨床心理士や精神科医によって行われます。診断のプロセスには以下のステップが含まれます:
初回面接:
患者の症状や生活状況について詳しく話を聞きます。
心理検査:
パーソナリティ障害の診断に役立つ心理検査を実施します。
診断基準の確認:
DSM-5やICD-10の診断基準に基づいて、患者症状がどの程度一致しているか確認し、他の障害との鑑別をします。
まとめ
強迫性パーソナリティ障害は、本人や周囲が困っている場合に治療が必要となります。適切な治療とサポートを受けることで、症状の改善が期待できます。
