抑圧(Repression)とは

抑圧(よくあつ)は、精神分析の創始者であるジークムント・フロイトによって提唱された防衛機制の一つです。

抑圧は、個人が受け入れがたい、または不快な思考、感情、欲望、記憶などを無意識に押し込め、意識から締め出すプロセスです。

これにより、個人はこれらの不快な要素を意識的に認識することなく生活を続けることができます。

目次

抑圧の定義とメカニズム

抑圧は、個人が意識的に受け入れることができない、または受け入れたくない思考や感情を無意識に押し込めるプロセスです。

これにより、個人はこれらの不快な要素を意識的に認識することなく生活を続けることができます。

抑圧は、他の防衛機制と密接に関連しており、多くの防衛機制の基盤となっています。

抑圧の具体例

抑圧の具体例としては、心因性の記憶喪失が挙げられます。

例えば、何かしらの事件に巻き込まれた精神的ショックによって事件に関する一切の記憶がなくなってしまうことがあります。

このような場合、命に関わるような恐ろしい経験を思い出してしまうと大きな恐怖が生じ、生活を送るのが困難となるため、抑圧によって事件に関する記憶を無意識の中に閉じ込めておくことで記憶喪失が起こるのです。

しな

ここからはスピリチュアルのお話になるのでご興味ない方はスルーしてください。
過去世で命に関わるような経験をしている場合、あえて思い出さないようにされている方もいらっしゃいます。
その場合、無意識下ではその内容を覚えており、過去世を解消するタイミングで思い出したりすることがあります。
今世でどの程度、過去世を解消するかどうかはその人の魂の設定によると思います。

抑圧と抑制の違い

抑圧とよく似ている用語に「抑制」があります。

抑制は、感情や衝動を本人が自覚し、意識的に抑え込むことを指します。

例えば、周囲の目が気になるので、イライラすることがあっても口に出さないようにすることが抑制です。

一方、抑圧は意識に上ってこないよう完全に抑え込んでしまう対処法であり、望ましくない記憶や感情、欲求は本人にまったく自覚されないという違いがあります。

抑圧と他の防衛機制との関連

抑圧は最も基本的な防衛機制であり、他の多くの防衛機制は抑圧がベースとなって働いています。

例えば、知性化や昇華などの防衛機制は、抑圧によって一度無意識下に抑え込まれた感情や欲動を、社会的に認められる形に変えて表出するものです。

抑圧と発達

抑圧は私たちの発達の過程においても重要な役割を果たしています。

フロイトは、リビドー(性的欲求)が集中する身体部位ごとにいくつかの発達段階に分けた心理性的発達理論を提唱しています。

その中の男根期(エディプス期)では、エディプス・コンプレックスと呼ばれる重要な発達課題に直面します。

この段階では、異性の養育者(母親)に対して性的な欲求を抱き、同性の養育者(父親)に対して敵意を抱きます。

しかし、そのままでは母親・父親とも社会的に望ましい関係を築けないため、母親に対する性的欲求と父親に対する敵意を無意識へ抑圧します。

抑圧と性格

抑圧は誰しもが行っていることとされていますが、そればかりに頼ってしまう人には独特の特徴があります。

抑圧にばかり頼ってしまう人は、自分が認められる範囲が非常に狭く、社会的に望ましい「良い人」にこだわります。

つまり、良い人であるために個性的な主張を行うような自分なりの考え・感情・欲求を抑え込んでいるのです。

そのため、一見すると人づきあいが良く、優しい人に見えますが、付き合いが長くなると人としての面白みに欠け、何を考えているかわからないという印象を与えることもあります。

抑圧の病理論と治療

抑圧は、ヒステリー(神経症)患者に典型的に見られる防衛機制です。

フロイトは、ヒステリー患者の多くが子供のころに性的虐待を受けていることを発見し、ヒステリーの病因として発表しました。

虐待を受けた子供は、不快な感情や記憶を抑圧して忘れていますが、抑圧された感情や記憶が身体症状となって現れることがあります。

こうした身体症状は、抑圧された不快な体験を思い出すと消えていくことがあります。

精神分析では、自由連想法を用いて抑圧された体験を思い出すという治療が行われます。

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