タロットの歴史② 占星術やカバラと結びついた18世紀

タロットが占星術やカバラと結びついたのは、18世紀のヨーロッパで、神秘思想やオカルティズムが大きな関心を集めた時代背景が影響しています。

フランスの神秘主義者ジャン＝バティスト・アリエット（エティラ）がこの融合を先導したと言われています。

彼はタロットを占星術やカバラの象徴体系と結びつけ、カードの絵柄をそれらと関連付けることで、深い神秘的意味を引き出そうとしました。

たとえば、タロットの「大アルカナ」が占星術の惑星や黄道十二宮、そしてカバラのセフィロトの生命の樹と関連付けられました。

また、この時期にはルネサンス期に再興されたネオプラトニズムの影響も見られます。

人間の魂と宇宙の調和を追求する思想がタロットに新たな哲学的意味を与え、個人の運命や霊的成長を探求するツールとして発展しました。

この歴史を振り返ると、18世紀の思想家たちはタロットを単なる占いの道具ではなく、より高尚な哲学的探求の一環として捉えたことが分かります。
これが現在のタロットの深遠な象徴体系の基盤を築いたのです。

神秘思想とは、目に見えない存在や宇宙の本質、内面の真理を探究するための思想や哲学のことを指します。

具体的には、科学や合理主義では説明できないものに焦点を当て、直観や象徴、儀式、そして霊的な知識を重視します。

この分野にはさまざまなテーマがあります：

宇宙と人間のつながり
占星術やカバラのように、宇宙の法則を理解して個人の成長や運命を探る試み。

霊的な進化
錬金術やタロットなどを通じて、物質的な変化だけでなく、精神的な浄化や悟りを目指す。

秘教的な学問
フリーメイソンや薔薇十字団のように、特定の象徴や知識を継承する組織的な伝統。

神秘思想は人々の感性や直観を活用し、見えない世界の理解を深めることを目的としています。この探究は歴史を通じて、哲学や芸術、文化に深い影響を与えてきました。

オカルティズムは、目に見えない世界や超自然的な現象、秘教的な知識に関する探究を指す言葉です。

語源はラテン語の「occultus」（隠された、秘密の）に由来し、科学では説明しきれない未知の現象や法則を研究・理解しようとする思想や実践を含みます。

具体的には、以下の分野がオカルティズムの主な領域です：

占星術
天体の運行と人間の運命を結びつける古代からの知識体系。

錬金術
物質の変容だけでなく、精神的な成長を追求する哲学。

タロット
シンボルを用いた精神的探求や占いのツール。

カバラ
宇宙や人間の霊的な側面を説明するユダヤ教の神秘主義。

霊媒術（スピリチュアリズム）
霊との対話を試みる実践。

オカルティズムはルネサンス期や18世紀から19世紀にかけて特に盛んになり、神秘主義や宗教、哲学と深く関連しています。個々の実践や思想がタロットや占星術などに統合され、現在でも一部の人々にとっては精神的な探求の重要な一部です。

ネオプラトニズムとは、古代ギリシャ哲学者プラトンの思想を基に、後世で発展した哲学的・霊的な伝統です。

3世紀にギリシャの哲学者プロティノスが始めたこの運動は、プラトンの理念を深化させ、存在や宇宙の本質を霊的観点から考察しました。

主な特徴：

「一者」（The One）
宇宙の究極的な源とされる、完全で不可分な存在。すべてのものは「一者」から生じると考えられていました。

存在の階層
「一者」から、知性（Nous）、魂（Soul）、そして物質へと次第に派生するという体系が設けられていました。これは霊的な成長や悟りを目指す構造とされました。

霊的調和
人間の魂は物質世界で囚われながらも、霊的努力を通じて「一者」と再び融合する道を探るというテーマが重視されました。

ネオプラトニズムは、カバラや錬金術、占星術などの神秘思想に大きな影響を与えただけでなく、中世のキリスト教神学や芸術にもその痕跡を残しています。

そうですね！
ネオプラトニズムの「一者」は、スピリチュアル界隈で言われる「宇宙の創造主」という概念とかなり近いものです。

「一者」はすべての存在の源であり、完全で不変の存在とされています。
宇宙の秩序や調和の中心であり、人間の魂が最終的に帰るべき場所として霊的探求の目標ともされます。

スピリチュアルな考え方でいう「創造主」も、宇宙全体を包み込む究極的な存在を指していることが多いので、両者の概念は共通点が多いと言えます。

ただ、スピリチュアル界隈の「宇宙の創造主」には文化や宗教的背景の影響で、より人格的な側面が加えられることがある点がネオプラトニズムの「一者」との違いになるかもしれません。

この二つがどう結びついているか、深く掘り下げるのも面白いですね！🌟

仏教の「輪廻転生」とネオプラトニズムの「一者」を中心とする思想には似たようなテーマがある一方で、異なる文化的・哲学的背景から生まれた概念です。

【主な違いと共通点】

【起源と背景】

輪廻転生は、古代インド哲学や宗教（ヴェーダ思想）の影響を受けた仏教の中心的な教義であり、魂が何度も生まれ変わり、カルマ（業）の結果によって次の生が決まるという考え方です。

ネオプラトニズムは古代ギリシャ哲学、特にプラトンの思想から発展し、霊的進化を「物質から一者への回帰」として捉えます。


【究極の目標】

仏教では、輪廻から解脱し「涅槃（ニルヴァーナ）」という状態に到達することが最終目標です。これは苦しみの終焉であり、完全な平安の状態です。

ネオプラトニズムでは、魂が「一者」と再び統合し、宇宙的な完全性に到達することが目的とされます。


【方法論や概念】

仏教は「業」（カルマ）と「四諦・八正道」の実践を通じて魂の浄化と解脱を目指します。

ネオプラトニズムでは哲学的な内省や霊的思索を通じ、存在の本質を追求して「一者」に至る道が説かれます。


両者が直接派生したとは言えませんが、共通点として「魂の進化」「物質からの解放」「完全性への憧れ」というテーマが挙げられます。
また、どちらも「目に見えない次元」を探究する神秘主義的な要素を持っており、後世の神秘思想に共通の影響を与えています。

実は「輪廻転生」の考え方は、ネオプラトニズムよりもずっと古いんです。

輪廻転生はインドの古代思想に起源があり、紀元前6世紀頃から仏教やジャイナ教の中心的な教義として広まっていました。

一方、ネオプラトニズムはプロティノスによって3世紀頃に体系化されました。

時代的な流れで言えば、輪廻転生の方が遥かに古く、宗教や哲学的探求の長い歴史を持っています。

ただ、どちらも「魂の成長」や「高次の存在との結びつき」をテーマにしているため、それぞれの文化が交わることで新しい理解を生む可能性があるんですね。